FXの会社設立をする手順やメリット・デメリットを徹底解説
FXが順調で一定の利益を上げているのなら、法人化するべきか悩んでいる人もいるでしょう。
しかし、会社の設立にはさまざまな手続きがいるうえ、経営には税金面の知識も多少必要になります。
そこで本記事ではFXの会社を設立する手順やメリット・デメリットを詳しくまとめました。
FX投資に本腰を入れたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
FXの会社設立をする方法
個人投資家がFXの会社設立をする場合、設立形態は株式会社、または合同会社が一般的です。
そこで、ここでは株式会社と合同会社の設立の手順がわかるようにまとめました。
知っておくと手続きがスムーズにできるので、ぜひ参考にしてみてください。
手順1.定款の作成をする
定款とは、合同会社、または株式会社の組織や運営方法などの基本的ルールを決めたもので、会社設立の際には必ず作成しなければなりません。
会社の登記事項は全て定款の記載事項になっているため、すべての事項をきちんと決めてから定款を作成することになります。
株式会社の場合は、作成した定款に公証人の認証が必須です。
定款認証は株式会社のみに必要な手続きなので、合同会社の場合は必要ありません。
手順2. 登記申請書類の作成をする
定款が決まり、出資金の支払が済んだら、次は登記申請書類の作成です。
各法務局、または公式サイトからダウンロードした設立登記申請書に必要事項を記載し、以下の書類を添付して提出します。
合同会社の場合
- 作成した定款
- 所在地を決定したことを証する書面(定款で市区町村を定めた場合不要)
- 代表社員を決定したことを証する書面(定款で代表社員を定めた場合不要)
- 代表社員の就任承諾書(代表者を選出した場合に必要)
- 出資金を払い込んだ銀行口座の通帳コピー
株式会社の場合
- 作成した定款
- 発起人の同意書
- 設立時代表取締役を選定したことを証する書面
- 設立時取締役、設立時代表取締役、及び設立時監査役の就任承諾書
- 印鑑証明書(代表取締役と取締役、監査役に就任する人のもの)
- 本人確認証明書(代表取締役と取締役、監査役に就任する人の運転免許証などのコピー)
- 出資金を払い込んだ銀行口座の通帳コピー
司法書士などの代理人に申請してもらう場合は委任状も添付する必要があります。
法務局に会社設立の登記申請書類と添付書類を提出した日が会社成立日です。
手順3.銀行口座を開設する
設立登記を申請すると、通常1週間ほどで登記が完了します。
登記が完了すると印鑑証明書や登記事項証明書を取得できるため、その後の手続きのために数部ほど入手しておきましょう。
入手した各種証明書を利用して会社名義の銀行口座を開設します。
FXの会社設立をするメリット
FXの会社を設立するメリットは下記の4つです。
- 節税対策ができる
- 10年間の損失繰越ができる
- 他事業と損益通算できる
- 決算期を変更できる
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
節税対策ができる
FXの会社を設立することで経費により節税対策ができます。
もともと個人でのFX取引は経費として税務署が認める範囲が広くはありません。
しかし、会社を設立すれば事業の所得とされるため、広範囲を経費として計上できるようになります。
例えば、家族を会社役員にして役員報酬の支払いで課税所得を減らすのも合法的に可能です。
また、自宅を事務所にすることで光熱費や通信費、固定資産税などを損金算入できるなど、経費の範囲が拡大する点が大きなメリットといえるでしょう。
10年間の損失繰越ができる
FX取引で赤字となった場合、個人事業主は要件を満たせば欠損金を最大3年間繰り越せます。
しかし、会社を設立した場合はこの欠損金の繰り越しが最大10年まで延長することが可能です。
繰越制度を利用するにはきちんと確定申告書を継続していることや帳簿を保存していることなど要件があります。
それでも年間で大きな損失を出しても、長い期間をかければ取り戻せるチャンスがあるのです。
他事業と損益通算できる
複数事業による法人化を検討している場合や、すでに会社経営をしている場合は、他の事業との損益通算ができると大きなメリットになるでしょう。
幅広く投資をしている場合も法人口座でまとめればFXとの損益通算を行えます。
一方で個人事業主の確定申告は、FXのみの雑所得で計算するため、ほかの所得との損益通算は原則的にできません。
決算期を変更できる
個人事業主の決算が12月と定められているのに対し、会社は都合に合わせて自由に決算期を設定することが可能です。
つまり、事業の繁忙期や資金繰りなどの経営状況に合わせて、自由に決算月を決められるので慌てることなく年度の締めを行えます。
FXの会社設立をするデメリット
FXの会社を設立することでデメリットもあります。
- 設立と維持にはコストがかかる
- 会社のお金は自由に使えない
ここではそれぞれのデメリットについて詳しく解説します。
設立と維持にはコストがかかる
会社は設立と維持だけでもコストがかかるものです。
まず、会社を設立する場合、株式会社か合同会社の2択になりますが、株式会社は合同会社よりもコストがかかります。
設立するだけで10~20万円、加えて会計処理の委託や行政機関への各種申請でも費用が必要です。
そのため会社の設立や維持費を考えると、個人でトレードするほうがよいケースもあります。
会社のお金は自由に使えない
会社にした場合、たとえ社長といえども会社のお金は勝手に使うことはできません。
資本金や運営資金のすべてを自分で出してトレードを行っていても、書類上では会社の資産になります。
会社の場合は事前に決めた役員報酬しか受け取れないので、大きく儲けた年も自由に使える金額に変わりがない点に注意が必要です。
FXの会社設立をするうえでの税理士の必要性
FXの会社設立のメリットである節税を最大化するためには、節税に強く、FXにも深い知識が必要です。
そのため、FXの会社を設立するのなら、FXの確定申告や決算に強い税理士を探すことをおすすめします。
サービス内容や費用は税理士事務所によって異なるので、充分に吟味し、ニーズにあったサービスを選択するようにしましょう。
まとめ
FXの会社設立のメリット・デメリットをきちんと理解して検討しよう
FXの会社を設立すれば節税対策や他事業と損益通算、決算期を変更など、さまざまなメリットがあります。
しかし、設立や維持費などコストがかかる点や、大きく儲けても自由に使えるお金が限られる点などデメリットもきちんと認識しておきましょう。
一般的には、FXによる利益が800万円を超えたら、会社設立を検討するべきともいわれます。
ただ、この金額も統計上の平均値に過ぎないため、FXの投資状況や環境を総合的に判断するようにしましょう。
メリット・デメリットを把握し、それでも判断がつかないという方は、FXに強い税理士に相談してみることも検討してみてください。
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