会社設立日の決める際のポイントや注意すべきことを解説
会社を設立するにあたって悩むのが「会社設立日」をいつにするか。
会社設立日に関する知識がないと、
- 「会社設立日にしたかった日と実際の会社設立日がずれている!」
- 「予想していたよりも多くの税金を課せられてしまった!」
といったトラブルに見舞われてしまいます。
そこで今回は、会社設立日の定義を解説するとともに、会社設立日を決める際のポイントや注意点もご紹介します。
会社設立日の定義
会社設立には様々な区切りの日があります。会社設立日とは一体どの日を指すのでしょうか?
会社設立日は「法務局での登記申請日」
会社法は「準則主語」に則っています。準則主義とは法律の規定に沿っていれば、行政機関などの許認可がなくても会社設立ができるという考え方です。
そのため、会社設立の最後の手続きとなる「法務局への登記申請」を行った日が、会社設立日となるのです。
この法務局の登記申請日は、申請方法によって異なります。
- 法務局窓口で申請:窓口で申請した日が会社設立日
- 郵送で申請:法務局に申請書類が届いた日が会社設立日
- 登記・供託オンライン申請システムで申請:オンライン申請日が会社設立日
ただし、営業時間の終了間際に申請すると受理されるのが翌日になり、会社設立日も翌日になってしまいます。
「この日に申請したい」という希望日がある場合には、時間に余裕を持って申請しましょう。
会社設立日と勘違いしやすい日
会社設立日と誤解されやすいのが「登記完了日」と「営業開始日」です。
登記完了日
登記完了日とは、法務局が登記申請を受けて書類の確認や謄本の作成を行い、それらの作業が完了した日です。
先ほどの登記申請日(=会社設立日)から約1週間後に登記が完了します。
登記が完了すると、商業登記簿謄本や印鑑証明書を取得できるようになります。
営業開始日(事業開始日)
営業開始日(事業開始日)は、会社として事業を始めた日を指します。
この日をいつにするかに明確な決まりはないため、自由に決定することが可能です。ただし、会社の銀行口座を開くためには商業登記簿謄本が必要となりますから、営業開始日は会社設立日から1~2週間経過した日になるのが一般的です。
登記完了日も営業開始日も会社設立日とは異なりますので注意しましょう。
会社設立日の決め方で押さえるポイント
「会社設立日をいつにしようか迷っている」という方に向けて、会社設立日の決め方におけるポイントをご紹介します。
節税対策も考慮して会社設立日を決定する
資本金1,000万円未満の会社は、設立1期目は消費税の課税が免除されます。
また、2期目も消費税免税を受ける条件として、
- 事業年度1期目上半期における課税売上高が1,000万円以下
- 事業年度1期目上半期における給与等の支払総額が1,000万円以下
の2つを満たす必要があります。
2期目も消費税免税を目指すのであれば、1ヶ月の売上予測から決算までを逆算して会社設立日を決定するのがおすすめです。
つまり、1ヶ月の売上予測が230万円の場合、1000万円未満の売上で留めるには約4ヶ月で上半期を終える必要があります。
決算を3月とする場合、事業年度は4月から始まり、上半期は9月までの6ヶ月間です。
6月に会社設立日を設定すれば上半期の売上は、
「0円(4月)+0円(5月)+230万円(6月)+230万円(7月)+230万円(8月)+230万円(9月)=920万円」となり、2期目の消費税免税の売上条件を満たせます。
事業の発展を願って縁起の良い日を選ぶことも
事業の末永い発展を願って、縁起の良い日を会社設立日にする人もいます。
例えば、
- 一粒万倍日:小さなものが大きく育つ日
- 大安:何事を行うにも良い日
- 寅の日:金運上昇が期待できる日
などが挙げられます。
また、「10月8日:永遠(とわ)の日」など縁起の良い語呂で選ぶ方もいます。
さらに自分の誕生日や記念日などと会社設立日をあわせるケースも見られます。
会社設立日を決める際に注意すべきこと
「この日を会社設立日にしたい!」と決めても、色々な理由からできない可能性があります。ここでは、そんな会社設立日を決める際に注意すべき2点をご紹介します。
法務局が閉まっている土日祝日は会社設立日にできない
会社設立日は「法務局への登記申請日」です。つまり、法務局が閉まっている土日祝日や年末年始は会社設立日にできません。また、平日であっても8:30~17:15の開庁時間を逃すと申請が受理されません。
オンライン申請システムも土日祝日や年末年始には利用できないため、会社設立日の候補日と法務局の休日が重なっていないかを確認しておく必要があります。
会社設立日は変更できない
会社の名称や所在地などは登記完了後も変更できますが、会社設立日は変更できません。
郵送やオンライン申請システムでの申請は何らかのトラブルで受理が遅れてしまう可能性もあります。「絶対にこの日がいい」という場合には、できるだけ法務局に書類を持参して登記申請を行う方が安心です。
まとめ
会社設立日の決定は事前の情報収集と準備が大切
会社設立日とは「法務局への登記申請日」を指し、申請方法によって以下の3パターンあります。
- 法務局窓口で申請:窓口で申請した日が会社設立日
- 郵送で申請:法務局に申請書類が届いた日が会社設立日
- 登記・供託オンライン申請システムで申請:オンライン申請日が会社設立日
会社設立日は事業発展のために「節税対策に効果的な日」や「縁起の良い日」から選ばれる傾向があります。
ただし、法務局の閉庁日である土日祝日や年末年始は会社設立日にはできません。また、一度登記申請を行ってしまうと会社設立日は変更できません。
会社設立日にこだわりのある方は法務局の開庁日を調べるとともに、間違いやトラブルのないように登記申請しましょう。
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