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会社設立時に活用できる補助金・助成金の種類や申請方法

2021年09月10日(金)12:09 PM

会社設立は手続きを行うだけで、株式会社なら約25万円、合同会社でも約10万円かかります。その上、資本金や事業の運転資金も別に用意しなければなりません。
「自己資金で賄うのが難しい」という場合に、ぜひ検討したいのが補助金や助成金の利用です。
今回は会社設立時に活用できる補助金・助成金の種類と申請方法について詳しく解説します。

会社設立時に活用できる補助金・助成金の種類と申請方法

国や自治体などから支給される「補助金」や「助成金」は、融資と異なり、どちらも返済する必要がありません。そのため、上手に活用すれば会社設立費用の負担感を大きく軽減できます。
なお、補助金と助成金には以下のような違いがあります。

  • 補助金:申請後に審査を通過すれば支給されるお金
  • 助成金:要件を満たした上で申請すれば支給されるお金

助成金は補助金より手軽に受け取れる一方で、支給額は小さくなります。

それでは、会社設立時に活用できる補助金と助成金の一例をご紹介します。

創業支援等事業者補助金

中小企業庁が産業競争力強化法に基づいて創設した補助金です。新たな雇用を生み出し、地域経済の活性化を図ることが目的となっています。

創業支援等事業者補助金の内容
  • 補助対象:市区町村と連携した民間の支援事業者などが行う創業支援に関する取り組みに要する経費の一部
  • 補助率:補助対象経費の2/3以内
  • 補助限度額:1,000万円(下限50万円)

[注1]

創業支援等事業者補助金の申請方法

会社設立予定の地方自治体の窓口に

  • 事業計画書
  • 申請書類

の2つを提出して申請します。
ただし、会社を設立する場所の地方自治体が「産業競争力強化法に基づく認定地方自治体」でなければ、創業支援等事業者補助金の支給は受けられないため、事前に確認しておきましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業の設備投資などを支援する目的で設けられた補助金です。
創業時に利用できるものとしては「一般型」と「グローバル展開型」があります。

ものづくり補助金の内容
1.一般型
  • 補助対象:中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等
  • 補助率:中小企業者1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3
  • 補助限度額:100万円~1,000万円
2.グローバル展開型
  • 補助対象:中小企業等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業、のいずれかに合致するもの)
  • 補助率:中小企業者1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3
  • 補助限度額:1,000万円~3,000万円
ものづくり補助金の申請方法

申請の際には

  • 事業計画書(様式自由、A4で10ページ程度)
  • 賃金引上げ計画の表明書
  • 決算書等(直近2年間の貸借対照表・損益計算書等)

などの書類を揃えて、公募期間内に電子申請を行います。
[注2]

小規模事業者持続化補助金[一般型]

商工会議所の管轄地域内で事業を営む小規模事業者や、一定の要件を満たした特定非営利活動法人の販路開拓・業務効率化を支援する補助金です。

小規模事業者持続化補助金の内容
  • 補助対象:地域の商工会または商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓に取り組む費用
  • 補助率:2/3
  • 補助限度額:50万円

[注3]

ただし、創業支援の一環として以下の条件2つに該当する場合には、補助限度額が100万円に引きあがります。

(1)申請日の時点で対象者要件を満たす小規模事業者になっており、産業競争力強化法に基づく認定地方自治体と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した、「特定創業支援等事業」による支援を過去3ヶ年度以内に受けている
(2)会社設立日が2020年1月1日以降である
[注4]

小規模事業者持続化補助金の申請方法

申請までの手続きは以下の通りです。

  1. 経営計画書・補助事業計画書の作成
  2. 地域の商工会議所で補助事業者の要件を満たしているか確認を受け、事業支援計画書等の作成交付を依頼
  3. 日本商工会議所(補助金事務局)へ申請書類を送付

[注4]

地域中小企業応援ファンド[スタート・アップ応援型]

中小機構・各都道府県の役所・中小企業支援機関・地方銀行などが共同出資して各都道府県に組成された助成金です。地域貢献性が高い新事業に取り組む中小企業者等に助成しています。

地域中小企業応援ファンド[スタート・アップ応援型]の内容
  • 助成対象:各地の農林水産物や伝統技術を活用する、商品開発・研究・需要の開拓にかかる費用
  • 助成率:1/2~3/4まで各都道府県によって異なる
  • 助成限度額:100万円~1,000万円まで各都道府県・事業によって異なる
地域中小企業応援ファンド[スタート・アップ応援型]の申請方法

各都道府県のファンド運営管理者のホームページ等で公募要項を確認して申請します。
ただし、ファンドが置かれていない都道府県の会社は原則として助成を受けることはできません。[注5][注6]

ここまでご紹介してきた以外にも、地方自治体等で様々な補助金・助成金が用意されています。また、補助金・助成金の内容や条件は時期によって変わることもありますので、最新の情報を確認するようにしましょう。

会社設立時に補助金・助成金を申請する際の注意点

会社設立時に補助金や助成金を申請する際には、以下の2点に注意しましょう。

後払いのため自己資金が必要

補助金や助成金は実際に使った経費の一部を支給する後払い形式となっており、活用するためにはある程度の自己資金が必要です。
また、採択されても実際に手元に受け取るまでには時間がかかります。
補助金や助成金をあてにして自己資金がないまま会社を設立すると、途中で資金が不足し、事業に支障をきたす恐れがあります。

複数受給不可のケースも多い

補助金や助成金はたくさんありますが、複数の受給は認められないケースも少なくありません。「なんとなく受給したけれど、こっちの補助金の方が良かった」と後悔しないよう自身の会社に適した補助金・助成金を吟味し、候補を絞った上で申請しましょう。
同時に申請すること自体は認められていますので、採択された後に最も条件の良い補助金・助成金を選んで受給するのがおすすめです。

まとめ

会社設立時は補助金と助成金を上手に活用しよう

今回ご紹介した会社設立時に使える補助金・助成金を以下の表にまとめました。

補助(助成)率補助(助成)限度額
創業支援等事業者補助金2/3以内1,000万円(下限50万円)
ものづくり
補助金
一般型
  • 中小企業者1/2
  • 小規模企業者、小規模事業者2/3
100万円~1,000万円
グローバル展開型
  • 中小企業者1/2
  • 小規模企業者、小規模事業者2/3
1,000万円~3,000万円
小規模事業者持続化補助金2/350万円
創業支援の2条件に該当する場合:100万円
地域中小企業応援ファンド
[スタート・アップ応援型]
各都道府県によって異なる各都道府県・事業によって異なる

これら以外にも地方自治体や各団体が様々な補助金や助成金を創設しています。常に最新の情報を入手できるようアンテナを張っておきましょう。
資金調達に詳しい税理士などに相談して、情報提供を受けるのもおすすめです。

[注1]中小企業庁:令和元年度予算「創業支援等事業者補助金」の公募を開始します
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/2019/190515sogyo.htm

[注2]ものづくり補助金事務局:ものづくり・商業・サービス補助金[PDF]
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/8th/gaiyou_20210830.pdf

[注3] 日本商工会議所:令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】[PDF]
https://r1.jizokukahojokin.info/files/9716/3090/2501/koubo_r1_ver12.pdf

[注4]日本商工会議所:小規模事業者持続化補助金<一般型>について
https://r1.jizokukahojokin.info/index.php/%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8C%96%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E9%87%91%E3%81%A8%E3%81%AF/

[注5]中小機構: 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
https://www.smrj.go.jp/sme/funding/regional_fund/index.html

[注6]中小機構:地域中小企業応援ファンド一覧[PDF]
https://www.smrj.go.jp/ebook/2020_chiiki_fund/book.pdf


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