会社設立時の社会保険加入は義務!手続きの流れや必要書類
会社設立には様々な手続きが必要となります。その中のひとつが「社会保険加入」です。
- 「そもそも社会保険って何があるの?」
- 「ひとり社長だから社会保険なんていらないのでは?」
と疑問を抱いている方のために、今回は会社設立時の社会保険加入は義務なのかをご説明すると同時に、社会保険加入の手続きや必要書類についても解説します。
会社設立時の社会保険加入は義務
実は会社設立時の社会保険加入は義務となっています。これはひとり社長であっても同様です。その理由を解説します。
会社設立時の社会保険加入は法律で定められている
一般的に社会保険とは、
- 健康保険
- 厚生年金保険
の2つを指します。
ただし、上記2つに加え、
- 雇用保険
- 労災保険
もあわせて社会保険と呼ぶ場合もあります。
この記事では健康保険と厚生年金保険の2つを「社会保険」と称します。
実はひとり社長であったとしても、会社設立時の社会保険加入は義務となっています。
健康保険の加入義務については健康保険法第3条では”「被保険者」とは、適用事業所に使用される者”とされています。
また、厚生年金の加入義務は厚生年金保険法第9条で”適用事業所に使用される70歳未満の者”となっています。
これら「適用事業所に使用される者」には、ひとり社長も含まれているのです。
社会保険加入義務の例外
原則として社会保険には加入義務がありますが、ひとり社長で「役員報酬を受け取っていない」あるいは「社会保険料を給与から天引きできないほど役員報酬が低い」という時には社会保険に加入できない場合があります。
社会保険に加入できない時には国民健康保険や国民年金に加入することになります。
会社設立時の社会保険加入を怠ると経営にも影響
社会保険加入の義務があるにも関わらず未加入のままだと、
- 年金事務所からの加入要請
- 年金事務所からの警告文書
- 立入検査と強制加入
という3つの段階を踏んで、最終的には社会保険の加入へと至ります。
「加入要請」と「警告文書」の段階で加入すれば、その日以降に発生する保険料の納付だけで済みますが、「立入検査」まで至ってしまうと、過去2年間に遡って保険料の納付を求められます。
また、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金といった罰則が課されることも。
会社を軌道に乗せ始めたところでの予定外の保険料・罰金の支払いは、この先の経営にも支障をきたします。
万が一、社会保険加入を忘れていた場合はできるだけ早く加入するようにしましょう。
会社設立時の社会保険加入の手続き
会社設立時の社会保険加入の手続きは「必要書類を揃える」と「期限内に年金事務所に提出する」という手順で行います。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
健康保険・厚生年金加入の必要書類を揃える
健康保険と厚生年金に加入する際には、
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
の3つを揃える必要があります。
これらの書類は日本年金機構の「健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧」よりダウンロード可能です。
健康保険・厚生年金保険新規適用届
健康保険や厚生年金の適用を受ける際に必要な書類です。
また、会社設立時には「法人(商業)登記簿謄本」の原本を添付する必要があります。直近の状態を確認するため、提出日から遡って90日以内に発行されたものを提出しなければなりませんので、発行日には十分注意しましょう。
また、会社の場所が登記上の所在地と異なる場合には、賃貸借契約書のコピーなど、所在地が確認できる書類も別途添付する必要があります。[注4][注6]
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
従業員を採用した場合など、新たに健康保険・厚生年金に加入すべき人が増えたときに提出する書類です。
原則として添付書類は必要ありませんが、以下の条件に当てはまる場合には、それぞれ添付書類が必要となります。
1.60歳以上の方が退職後1日の間もなく再雇用された場合
同日付の資格喪失届の提出と同時に、(1)と(2)の両方、または(3)の添付が必要です。
- (1)就業規則、退職辞令の写し(退職日の確認ができるもの)
- (2)雇用契約書の写し(継続して再雇用されたことが分かるもの)
- (3)「退職日」及び「再雇用された日」に関する事業主の証明書
2.国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件を満たす場合
国民健康保険組合の理事長が認めた場合に限り、「健康保険被保険者適用除外承認申請書」を事実発生時から14日以内に提出します。
健康保険被扶養者(異動)届
新たに加入する従業員に扶養家族がいる場合に提出する書類です。
(1)または(2)のどちらかと、(3)をあわせて添付する必要があります。
- (1)被扶養者の戸籍謄本または戸籍抄本(被保険者との続柄が分かるもの)
- (2)住民票の写し(コピー不可・個人番号の記載のないもの)
- (3)収入要件確認のための書類
設立登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に提出
必要書類は設立登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に提出する必要があります。期限内に提出できるよう、早めに準備しておきましょう。
まとめ
会社設立時の社会保険加入は早めの準備が大切
社会保険とは健康保険と厚生年金の2つを指し、ひとり社長であっても会社設立時には社会保険加入が法律で義務付けられています。
社会保険に加入するには、
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
という3つの必要書類とそれに添付する書類を揃えて、設立登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
社会保険未加入になると罰則が与えられる可能性もあるため、早めに準備して手続きを完了させるようにしましょう。
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