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個人投資家が資産管理会社を設立するための手順を詳しく紹介

2021年09月10日(金)12:09 PM

投資を行うことである程度の資産ができた個人投資家にとって、投資をすることと平行して資産管理がとても重要になってきます。よく言われるように税金対策の面でも資産管理会社の設立には、メリットがたくさんあります。しかし、会社設立となると、多少なりとも覚悟が必要です。そこで、資産管理会社を設立する際の注意点などもご紹介するので、しっかりと頭に入れるようにしましょう。

個人投資家が資産管理会社を設立する理由

基本的に日本の税制は個人に厳しく、法人に優しいものとなっています。芸能人など多くのお金を稼ぐ人が、資産管理(節税)の目的で個人事務所を設立するのはそのためです。毎年、日本の税制は改正されています。「改正」と書くと、正しく改められるという意味に捉えられ、正しい方向に向かっていると思いがちです。しかし、人によっては「改悪(増税)」の面が多々あるのです。既出していますが、国の基本路線は増税少し減税で(3歩増税2歩減税)という飴と鞭で成り立っています。増税のターゲットになるのは徴収しやすい個人です。説明が遠回りになってしまいましたが、国の増税の流れに対抗する術の大きな部分として資産管理会社の設立があります。

個人投資家が資産管理会社を設立するメリット

個人投資家が資産管理会社を設立するメリットは以下の通りです。

  1. 節税のため
  2. 損益通算ができる
  3. 相続手続きが簡単

大きくは以上の3つです。節税については経費で落としやすくなるのが大きなメリットとなります。また、節税と損益通算はリンクする部分がありますが、投資は儲かるばかりではなく、損失を出す場合もあります。その損失を翌年以降に欠損金として繰り越すことができるのが、最大のメリットといっていいでしょう。個人で確定申告する(白色申告)場合では、翌年の繰越しはないので損金がそのままマイナス計上となってその年は終わってしまいます。経済活動においての税金は利益に対してかかるものですから、それがマイナスになっても翌年に繰り越すことができるのは何にも変えられないメリットです。
相続手続きについては、個人名義と法人名義の相続を考えたらわかりやすいでしょう。個人の場合は資産の一つ一つについて名義変更が必要になります。一方の資産管理会社であれば、株式の相続だけで手続きは完了します。

個人投資家が資産管理会社を設立する手順

ここでは、株式会社を設立する手順としてご説明します。手順は以下の通りとなります。

  1. 定款の作成(設立準備)
  2. 定款の認証
  3. 出資金の払い込み
  4. 登記申請に必要な書類の作成
  5. 行政機関への届け出

流れとしては以上となります。何事も最初が肝心であり、最初の「定款の作成」を乗りきったら、後は定型的な作業になるのでスムーズ進むことでしょう。

定款の作成について

一番の難関の定款の作成についてご紹介します。資産管理会社といっても会社という形態であるならば、事業・設立の目的、発起人、決算月、さらには資本金(出資金)といった設立の準備が必要です。発起人は資金を出資しなくてはなりません。個人投資家の資産管理会社であれば、発起人は個人投資家本人のみが望ましいです。また、商号や会社名なども決めなくてはいけません。自身で決めなくてはいけない部分が多いのが設立準備の段階ですが、基本的な部分を決めれば、準備に多くの部分さらには、定款の認証以降の手順についても司法書士などにまかせることができるので、最小限の手間で資産管理会社を設立することができます。

もちろん自身ですべてを行ったほうが経費節減にもなります。

個人投資家が資産管理会社を設立する際の注意点

資産管理会社設立にあたってのメリットや設立手順をご説明しました。しかし、もちろんメリットばかりではありません。デメリットというわけではないのですが、設立にあたって気にしておいたほうがいい注意点をご説明します。
注意点は以下の通りです。

  1. 設立費用(株式・出資金)がかかる
  2. 社会保険への加入義務
  3. 思わぬ課税対象がある(評価益など)
  4. 決算の申告が必要

注意点のまとめ

設立費用については相応の額ということになります。注意点に挙げる必要もないかもしれません。ただしわずかな額であっても設立費用はかかるという点に注意が必要です。社会保険の加入義務については、従業員を雇用しない場合でも本人は、健康保険(介護保険含)・厚生年金に加入しなければいけません。

雇用した場合は労働保険(雇用保険+労災保険)も必要。

個人で負担する国民年金や国保よりも負担額は増しますが、老後の年金が増えるので一概にデメリットとはいえません。但し負担額は確実に増えます。
個人投資家であれば、課税対象は譲渡益だけですが、法人では評価益も大正になります。評価益は決算時の価値によって決まるので、思わぬ課税となる場合もあります。
法人ですから、決算を行わなければいけません。煩雑な申告になるケースも多く、一般的には税理士に依頼することになるでしょう。

年間顧問料or決算処理料が必要。

まとめ

メリットと注意点をよく考えて資産管理会社の設立をしましょう

どれだけ投資で儲けたから資産管理会社を設立しよう…といった明確な分岐点は存在しません。しかし、投資でずっと生活をしていこう、一攫千金もありそうだ、いつか実を結ぶ株式を保有している…といった状況であれば、資産管理会社の設立を考えてもいいでしょう。全く新しい事業をするわけではなく、いわゆるペーパーカンパニーなので資産管理会社は思ったよりも簡単に設立できます。もちろん、乗り越えるべきハードルはありますが、難しいものではありません。ただし、ここに挙げた注意点はしっかり頭に入れて資産管理会社設立に役立ててください。


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