合同会社から株式会社に組織変更する手続きの方法や注意点
合同会社から株式会社への組織変更とは
会社の形態は、株式会社や合同会社など現在は全部で4種類ありますが、今の会社形態を別のものに変更できるのでしょうか。
合同会社は株式会社と比較すると設立の際の費用を抑えることができるため、合同会社から始める企業も多く、事業拡大に伴い株式会社に変更を考えているケースもあるかと思います。
組織変更とは、合同会社から株式会社に変更すること、またはその逆のことで、会社法の第2条26号にて定義されています。
似たような言葉で「組織再編」がありますが、こちらは事業を分割したり統合して組織を変更するという意味なので、組織変更とは全くの別物です。
合同会社から株式会社に組織変更するメリットは3つ
合同会社から株式会社に組織変更することで得られるメリットを3つご紹介します。
社会的信用度や認知度が増す
合同会社は、取り締まりの任期や決算の報告義務がないため、世間の信用度が低く、まだ新しい会社形態でもあるため社会的認知度も高くありません。
しかし「株式会社」に組織変更することで、取引先や銀行からの信用を得やすくなります。
株式会社を新規で設立するより費用を抑えられる
新しく会社を設立する際には資本金以外に手数料が必要です。
株式会社を新設する際は、最初に20万円以上の費用がかかりますが、合同会社なら6万円程度に抑えることが可能です。
合同会社から株式会社へ変更する費用は約10万円なので、事業が拡大してから株式会社に組織変更したほうが費用を抑えることができます。
株式上場が可能になる
合同会社には株式が存在しないので、株式上場することができません。
株式会社に組織変更して、株式上場ができれば多額の資金を調達することも可能ですし、会社の安定にもつながります。
会社を大きく成長させたい場合には、株式会社に移行することも考えなければなりません。
合同会社から株式会社に組織変更するデメリットや注意点
合同会社から株式会社に変更をするデメリットについてもお伝えします。
注意点として把握しておきましょう。
手続きに時間がかかる
合同会社から株式会社に組織変更するためには、債権者保護手続きをしなければなりません。
この手続きには、最低でも1ヶ月程の期間がかかり、債権者の中から一人でも組織変更に異議申し立てがあった場合は、株式会社に変更することができなくなります。
手続きには組織変更計画書も必要で、作成に時間がかかるため組織変更完了まで2ヶ月以上かかるケースも多いです。
経営の自由度が低くなる
合同会社は会社の重要な決定事項を会社のトップの一存で決めることが可能でしたが、株式会社になると株主総会での決議が必要になります。
そのため、合同会社の時のように一部の人の意志だけで自由に経営していくことは困難になります。
他にも、株式会社は取締役や監査役の設置義務があったり、株主や取引先へ決算公告も必要となるので、手間がかかるデメリットがあります。
合同会社から株式会社に組織変更する手続きの方法を4ステップで紹介
続いて、組織変更を行うための具体的な手続き方法について解説していきます。
組織変更の手続きは2ヶ月程かかることが多いため、手順を把握して計画的に進めていきましょう。
組織変更計画書を作成する
合同会社から株式会社への変更でまずすべきことは「組織変更計画書」を作成することです。
この書類には、社名や本店所在地、事業内容や目的、定款で定める事項など、株式会社に変更するための必要事項が全て書かれています。
全社員から合意を得る
全社員からの同意がなければ株式会社に変更できません。
ここで言う全社員とは、従業員という意味ではなく出資をしている有限責任社員のことです。
効力発生日の前日までに社員全員から同意を得る必要があります。
債権者保護の手続きを行う
合同会社の債権者は組織変更に異議申し立てを行う権利があります。
そのため、組織変更の前には必ず債権者に知らせなければなりません。
債権者保護手続きは、官報への広告掲載と債権者への個別通知どちらも必要です。
効力発生と登記申請
債権者保護手続き後、問題なく進めば組織変更計画書で定めた「効力発生日」から効力が発生します。
効力発生から2週間以内に法務局にて、株式会社設立登記を行います。
同時に、合同会社解散登記も必要になりますので忘れず行いましょう。
まとめ
合同会社から株式会社への組織変更は難しくない
合同会社から株式会社に組織変更するための手続きや注意点について詳しく解説しました。
どちらの会社形態もメリットとデメリットがそれぞれありますが、会社が成長し、社会的知名度高めて安定させたい場合は、株式会社に変更することも検討してみてください。
会社設立時より必要書類も少ないため、手順を理解していれば難しいものではありません。
組織変更をスムーズに行いたい場合は、税理士など専門家に依頼するのもひとつの手です。
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