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有限会社をもう設立できない理由やその他の会社形態を紹介

2021年09月10日(金)12:09 PM

そもそも有限会社とは?現在は存在しない会社形態のこと

有限会社とは、現在では廃止された会社形態のことです。
2006年5月に改正された会社法に伴い株式会社に一本化され、有限会社を新たに作ることはできなくなりました。
では一体、有限会社とはどのような会社形態だったのか見てみましょう。

会社形態で代表的なものの中に「株式会社」があります。
法改正前は、資本金1,000万円以上、取締役3名以上という厳しい条件でしか設立できなかった株式会社ですが、有限会社は資本金300万円以上、取締役1名以上という条件でした。
そのため、小規模で事業を始めようと考えている人に有限会社は向いていたのです。
また有限会社は取締りの任期がなく、決算の報告義務もありませんでしたので、株式会社より社会的信用は低いというデメリットがあります。
ちなみに、会社法施行以前に存在していた有限会社は「特例有限会社」に移行するか、株式会社に変更手続きを行うかのどちらかで現在も存続しています。

有限会社を設立できない理由は小規模でも株式会社設立が可能になったから

先ほど述べたように、2006年に大きく改正された会社法により現在は有限会社を作ることはできなくなりましたが、なぜ廃止されてしまったのでしょうか。
有限会社が設立できなくなった理由は複数ありますが、会社法の改正により株式会社を設立する基準が緩くなったことが一番の理由です。
2006年以降、設立するのにハードルの高かった株式会社の条件が大きく変化したのです。
旧制度では、株式会社設立には資本金が1000万円以上必要で、取締役3名以上と監査役1人以上の設置が必須でした。
家族経営や小規模事業の場合この条件は厳しく難しいものでした。
改正後の条件で一番変化があったのは「資本金」です。
株式会社設立のための資本金は1円以上からとなり、また役員も1人から設置可能となりました。
これにより、資金が少ない場合や小さな会社でも社会的信用度の高い株式会社の設立ができるようになったのです。
社員数が無制限という部分は旧制度のままなので、会社設立後に事業が拡大しても問題ありません。
最低資本金制度が廃止されたことで、有限会社のメリットが失われ有限会社という形態そのものが必要なくなりました。

有限会社以外の会社形態の特徴と選び方を紹介

有限会社は廃止されましたが株式会社のみになったわけではありません。
法改正後、新たに「持分会社」という会社が誕生しました。
持分会社の種類は「合同会社」「合資会社」「合名会社」の3つです。
株式会社も合わせると現在は全部で4種類の会社形態が存在します。
会社形態の特徴と選び方について解説します。

株式会社の特徴

株式会社は認知度や社会的信用が一番高い会社形態です。
株式会社は株式を発行して資金を集め会社経営を行います。
資金を出資した「株主」は、配当金を受け取ったり株主総会に参加する権利があります。
株式会社は資金を出資した株主が会社の所有者であり、経営者と分離している点が大きな特徴です。

持分会社の特徴

「合同会社」「合資会社」「合名会社」の3つは全く同じではありませんが、主に出資者と経営者が一体化されている特徴があります。
要するに、持分会社の所有権は出資者である社員にあるのです。
社員の責任の範囲に関しては、合同会社と合資会社は「有限責任」となり、万が一会社が倒産した場合などは会社に支払った出資額を上限とし、責任を負わなければなりません。
合名会社は「無限責任」になるため、出資額に関わらず会社の債務に対し上限なく責任を負います。
持分会社は小規模の会社設立には適していますが、知名度や信頼性が低いため後に事業を拡大させたい場合は、将来的に株式会社に移行するという選択も可能です。

どの会社形態を選んでも資本金1円から設立可能ですが、実際に株式会社を設立する場合、手続きなどの初期費用で20万円程は必要となります。
それに比べ、持分会社は6万円程で設立できます。
経営の自由度を重視したい場合や、安い費用で設立したいなら持分会社の方が向いており、事業を大きくし将来的に上場を目指す場合などは株式会社を検討してみると良いでしょう。

まとめ

会社を設立するなら有限会社ではなく株式会社か持分会社を選ぼう

会社法の改正によって、現在有限会社は廃止され法律上は株式会社に一本化されています。
それに伴い、株式会社設立の条件も変わり、資金が少ない小規模な会社でもハードルが下がった分以前よりも簡単に株式会社設立ができるようになりました。
今から会社を設立する場合は、それぞれの会社形態の特徴や違いを理解して、株式会社あるいは持分会社を選びましょう。


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