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派遣会社を設立するまでの流れや必要な資格を詳しく紹介

2021年09月10日(金)12:09 PM

派遣会社の設立は、一般的な会社設立よりも様々な資格要件をクリアする必要があります。
また、派遣会社設立の申請には時間や労力だけでなく、20万円以上の手数料もかかります。これらを無駄にしないためにも、設立までの流れや資格要件は十分理解しておきたいところ。
そこで今回は派遣会社を設立するまでの流れや必要な資格要件、押さえておくべき注意事項について詳しく解説します。

派遣会社を設立する際の流れ

派遣会社を設立するまでには以下の3つの手順を踏む必要があります。

  • 派遣元責任者講習の受講
  • 会社の設立
  • 厚生労働省への申請・審査

ここでは1つ1つの手順について詳しく解説します。

1. 派遣元責任者講習の受講

派遣会社を設立するには、申請前に「派遣元責任者講習」の受講が必要です。
派遣元責任者とは、派遣労働者の雇用管理や保護、派遣先とのトラブル解消などに取り組む役割を担う人を指します。
派遣元責任者講習では、労働派遣法の遵守や労働基準法の適用など労働者派遣事業を行う上で必要な知識を学びます。受講期間は1日間で、休憩を挟みつつ10:00~17:00で行うのが一般的です。一度受講すれば、3年間有効です。

2. 会社の設立

一般的な会社設立と同様に、以下の必要書類を揃えます。

  • 登記申請書
  • 登記免許税の収入印紙を貼付した台紙
  • 登記すべき事項を保存したCD-R
  • 定款
  • 取締役の就任承諾書
  • 払込証明書
  • 印鑑(改印)届出書
  • その他、必要な書類

これらを法務局へ提出して登記申請を行えば、その時点で会社設立は完了します。

3. 厚生労働省への申請・審査

派遣会社を設立するには厚生労働省から「労働者派遣事業」の許可を得なければなりません。
後述の派遣会社設立の資格要件を満たした上で、必要な書類を揃えて管轄の労働局に申請します。
「労働者派遣事業許可申請書」や「労働者派遣事業計画書」をはじめ、非常に多くの添付書類を揃える必要があるため、詳しくは管轄の労働局のホームページ等で確認してください。

申請後には、労働局において

  • 申請内容の調査・確認
  • 事業所の現地調査

が実施されます。
その後、厚生労働省での

  • 本省審査
  • 厚生労働大臣から労働政策審議会への諮問
  • 労働政策審議会から厚生労働大臣への答申

を経て、許可または不許可が決定されます。無事に許可されれば労働派遣事業の許可証が発行され、派遣会社を設立できるようになります。
申請から許可証を受け取るまでには2~3ヶ月程度、申請件数などの状況によっては3ヶ月以上かかる可能性がありますので、余裕をもって申請しましょう。

派遣会社の設立に必要な資格要件

派遣会社設立には「派遣元責任者」の資格が必要となります。またその他にもいくつかの要件を満たす必要がありますので代表的なものをご紹介します。

派遣元責任者

先ほどもご説明した通り、派遣元責任者は「派遣元責任者講習」を1日受講するだけで3年間有効の資格を得られます。
ただし、派遣元責任者になるためには、派遣元責任者講習の受講以外にも以下の条件を満たす必要があります。

  • 未成年でない
  • 住所が一定している
  • 健康である
  • 公共の場にふさわしくない業務ではない
  • 名義借りではない
  • 雇用管理経験が3年以上ある
  • 外国人の場合には在留資格がある
  • 労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由に該当しない

最後の「労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由」とは、

  • 労働関係法や刑法の違反から5年経過していない
  • 心身の故障により適正に事業を行えない
  • 破産者で復権していない
  • 以前に労働者派遣事業の許可を取り消され、その命令の日から5年経過していない
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年経過していない
  • 暴力団員等に事業活動を支配されている
  • 暴力団員等をその事業に従事させたり、業務の補助者として使用したりする恐れがある
  • 未成年者の法定代理人が欠格事由に該当している
  • 役員のうち欠格事由に該当する者がいる

といったものが挙げられます。

これらの要件を満たさないと、派遣元責任者講習を受講しても「派遣元責任者」としての資格は得られないため注意しましょう。

一定以上の資産

派遣会社を始めるには、

  • 基準資産額が2,000万円以上
  • 資産のうち1,500万円以上が現金
  • 純資産が負債の1/7以上

という資産要件を満たす必要があります。
資産要件を満たすことが難しい場合は、税理士や公認会計士などに相談し、増資などの助言を受けると良いでしょう。

事業所の場所や面積

事業所の場所や面積にも以下のような要件が定められています。

  • 事業所の面積が20㎡以上:事業で使うスペースのみ。キッチンやトイレ等は含めない
  • 風俗営業法の規制対象となる店舗が近隣にない

また、賃貸物件を事業所として利用する場合には、大家さんの許可が必要です。

その他の要件

その他にも

  • 適正な事業運営
  • 個人情報の管理
  • 教育訓練の施設・設備等の整備

などの要件がありますので、1つ1つ満たしていく必要があります。

派遣会社の設立での注意事項

派遣会社設立に必要な「労働者派遣事業」の申請手続きには、

  • 「12万円+5万5000円×労働者派遣事業を行う事業所数-1」の手数料
  • 登録免許税9万円

がかかります。
つまり、派遣会社を1つ設立する際には手数料だけで21万円かかるということ。
万が一申請に不備があれば、この手数料は全て無駄になってしまいます。
初めて派遣会社を設立する人が、多数の必要書類を一切の不備なく揃えるのは至難の業。難しいと感じたら早めに専門家に相談した方が、トータルでのコスト削減につながる可能性があります。

まとめ

派遣会社設立は必要書類と資格要件を十分に理解して取り組もう

派遣会社を設立するには、通常の法務局への登記申請による会社設立に加え、厚生労働省に対して「労働者派遣事業の許可申請」を行う必要があります。
また、派遣会社設立の要件として

  • 派遣元責任者講習の受講
  • 2,000万円以上の資産
  • 20㎡以上の事業所で風営法の規制対象となる店舗が近隣にない

などの様々な要件を満たす必要があります。
初めて派遣会社を設立する人が「必要な書類が揃っているか」「全ての条件を満たしているか」を1つ1つ確認していくのは至難の業。1つの不備で申請が却下され、20万円以上の手数料が無駄になるリスクもあります。
事前に税理士や司法書士といった専門家に相談すれば、疑問や不安を解消した上で申請に臨めるためおすすめです。


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