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海外で会社を設立する方法や注意すべきことを分かりやすく解説

2021年09月10日(金)12:09 PM

「グローバル市場で戦いたい」と考えて、海外進出を検討している方は少なくありません。しかし、海外に会社を設立するとなると難しいイメージがあります。

この記事では、海外で会社を設立する方法や注意点まで解説します。また海外に会社を設立する際のポイントまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。

海外に会社を設立する場合は専門家に依頼するのが一般的

海外で会社を設立するには、日本と同様に法人登記が必要になります。しかし、海外で会社を設立する場合は申請手続きが複雑なことや言語の問題が発生するため、日本で申請するよりも難しいです。

そのため、海外で会社を設立する際は専門家に依頼するのが一般的です。また、国によって法律や制度が異なるので、設立したい国を得意とする専門家を選ぶ必要があります。

海外に会社を設立する際のポイント

海外に会社設立する際は、日本との文化の違いや外国企業の誘致に積極的かどうかを確認することがポイントです。それぞれのポイントを詳しく解説します。

日本との文化の違いが少ない国を選ぶ

海外で会社を設立する際に、日本との文化の違いよる障害を受けることがあります。たとえ日本で売れている商品でも、海外では全く売れないケースも少なくありません。

そのため、海外進出する際は、日本との文化の違いが少ない国に設立するのがポイントです。自社の商品やサービスが現地で受けるかマーケティングを行い、相性の良さを確認する必要があります。

外国企業の誘致に積極的な国を選ぶ

外国企業の誘致に積極的な国を選ぶことも、海外で会社を設立するポイントの1つです。国によって外国企業の誘致の積極性が異なります。外国企業の誘致を積極的に行う国では、さまざまな優遇制度を行っているのです。

たとえば、シンガポールでは法人税にかかる優遇税制を行っています。以下にシンガポールが行う優遇税制をまとめました。

  • 部分免税制度
  • 法人税リベート
  • スタートアップ免税制度

またシンガポールは法人税が17%と世界でもっとも法人税が安い国です。税制優遇や法人税の安さから海外で会社を設立するハードルは他の国に比べて低くなります。外国企業の誘致に積極的な国を選ぶことで、さまざまな優遇制度の恩恵を受けることができるでしょう。

海外に会社を設立する際の注意点

海外に会社を設立する際は、以下の3つに注意する必要があります。

  • カントリーリスクを考慮する必要がある
  • 日本からの融資が厳しくなる
  • 節税が上手くいかないケースがある

ここでは、それぞれの注意点を詳しく解説します。

カントリーリスクを考慮する必要がある

海外に会社を設立する場合に、カントリーリスクがあります。カントリーリスクとは、政治や経済の変化によって損失を被る可能性のことです。実際に海外進出した日本の企業でもカントリーリスクによって一時的な業務の中断に追い込まれた事例があります。

たとえば、2011年2月にエジプトは反政府デモによって情勢が不安定でした。このときに、エジプトに進出していた日産自動車や大塚製薬などの工場が一時的に業務中断する必要があったのです。製造ラインが止まることで製品が作れなくなるので、大きな被害を受けることになります。

日本のような治安の良い国はなかなかありません。そのため、海外に会社を設立する際はカントリーリスクも考慮する必要があります。

日本からの融資が厳しくなる

海外に会社を設立すると日本からの融資が厳しくなります。海外で会社を設立する際に日本の銀行から融資を受けることは可能です。しかし、銀行融資の審査は厳しく実績のない会社ではほとんど融資は通らないと考えてよいでしょう。

また、日本政策金融公庫の海外展開・事業再編資金であっても規模が小さい会社では融資を受ける条件をクリアできません。資金が厳しい場合は、融資以外の資金調達方法が必要になります。[注1]

[注1]海外展開・事業再編資金|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaigaitenkai_t.html

節税が上手くいかないケースがある

節税を目的に海外で会社を設立する方も多くいます。しかし、日本には「タックスヘイブン対策税制」と「移転価格税制」があるので、節税がうまくいかないケースがあるのです。

たとえば、タックスヘイブン対策税制は税率が低い国で利益を上げる場合に発生することがあります。日本の親会社の利益と海外の会社との利益を合算して法人税が徴収されます。そのため、せっかく税率が低い国に会社を設立しても節税が行えないのです。

また、移転価格税制では国境をまたぐ利益移転を防止する制度です。たとえば、税負担を軽減させるために製造拠点を日本から海外に移すなどを行うと移転価格課税が発生する場合があります。[注2]

[注2]財務省│移転価格税制の概要
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/177.htm

まとめ

海外での会社設立は慎重に検討しよう

海外で会社設立する際は申請手続きが複雑です。言語の問題や国によって法律も異なるので専門家に依頼するが一般的になります。

また、海外によっては外国企業の誘致に積極的な国があります。誘致に積極的な国では、優遇税制によって節税することが可能です。ただし、カントリーリスクや日本からの融資が厳しくなるので、海外での会社設立は慎重に検討しましょう。


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