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飲食店開業で利用できる融資制度の特徴や審査に通るポイント

2021年10月20日(水)10:44 AM

飲食店を開業するのに多額の初期費用が必要です。そのため、自己資金が足りずに資金調達に悩む方は少なくありません。

この記事では、飲食店開業で利用できる融資制度を紹介します。また、審査に通るポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

飲食店開業で利用できる融資制度

飲食店開業で利用できる融資制度は主に以下の3つです。

  • 日本政策金融公庫の融資制度
  • 信用保証協会の保証付融資
  • 都道府県の融資制度

ここでは、それぞれの融資制度について詳しく解説します。

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方を対象にした「新創業融資制度」があります。新創業融資制度は、これまで取引実績のない方でも融資が受けやすい制度です。

特に無担保及び無保証人で借入できるため、他の融資制度に比べて審査基準のハードルが低いです。また、審査を合格すると運転資金1,500万円から最大で3,000万円もの融資を受けられます。

信用保証協会の融資制度

信用保証協会とは、地方銀行や信用金庫などから融資を受ける際に連帯保証人となってくれる公的機関です。

これまでの取引実績がなく単独融資が受けられない場合に、信用保証協会が保証してくれることで、融資実行がスムーズになります。ただし、保証付融資を受ける場合は対価として一定の信用保証料を支払う必要があります。

都道府県の融資制度

自治体によっては、融資制度が設けられています。自治体から指定する金融機関から融資を受けることで、自治体の融資制度の利用が可能です。

ちなみに自治体の融資制度を受けると保証料の一部を負担してくれるので、信用保証協会の保証付融資と似た形になります。

飲食店開業で融資を受けるメリット

飲食店開業で融資を受けるメリットはさまざまです。たとえば、開業に必要な資金を調達できることや株券を引き渡すことなく資金調達ができることが挙げられます。
ここでは、それぞれのメリットを詳しく紹介します。

開業に必要な資金を調達できる

飲食店を開業するには多額の資金が必要です。規模や取り扱う商品によっても異なりますが、飲食店を開業する際の初期費用は700万~1,200万円ほどかかるといわれています。
他の事業に比べて高額な費用が必要となるので、自己資金のみで準備するのは厳しいといえるでしょう。

しかし、融資制度を利用すれば800万円近い資金を調達することができます。日本政策金融公庫の「2020年新規開業実態調査」によると、2020年の開業時の資金調達額は平均で1,194万円でした。[注1]

そのうち、「日本政策金融公庫」、「民間金融機関」、「地方自治体(制度融資)」による資金調達が825万円に上ります。つまり、融資制度を使えば飲食店の開業に必要な資金の大部分を準備できるのです。

[注1]日本政策金融公庫:2020年度新規開業実態調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_201119_1.pdf

株券を引き渡すことなく資金調達できる

融資以外にも出資による資金調達も可能です。しかし、出資による資金調達は、資金の代わりに株券を引き渡す必要があります。出資比率によっては、出資者に経営権を握られる恐れがあるため、自由に経営ができなくなります。

一方で融資制度は、株券を引き渡す必要がありません。基本的に借り入れ金額の返済と利息の支払いのみを行えばよいのです。会社側は経営の自由性を維持したまま資金調達が行えます。

飲食店開業で融資を受けるデメリット

融資を検討する際はメリットだけでなくデメリットも理解する必要があります。
以下では、元本・利息の支払いや自己資金が少ないと、融資の審査に落ちやすいことについて解説します。

元本の返済と利息の支払いが必要

融資のデメリットは元本の返済と利息の支払いが必要になることです。出資の場合に株式を発券するだけで、元本の返済や利息の支払いは必要ありません。しかし、融資を受ける際は元本の返済や利息を必ず支払わなければならないため、注意しましょう。

そのため、融資を受ける際は借り過ぎに要注意です。必要以上に借り入れてしまうと、その分返済する金額も高額になるためリスクが高くなります。開業する際は、必要な資金をしっかりと精査して借り過ぎないように心がけましょう。

自己資金が少ないと融資の審査に落ちる場合がある

融資を受ける際は、審査に合格する必要があります。しかし、自己資金が少なすぎると審査に落ちやすいので融資が受けられないケースがあります。

たとえば、日本政策金融金庫の「新創業融資制度」では、自己資金の要件として創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要になります。そのため、800万円の融資を受けるためには80万円を自己資金として準備する必要があるのです。[注2]

また、民間金融機関や地方自治体の融資制度についても、自己資金に要件が求められているケースがほとんどです。つまり、ある程度の自己資金がなければ融資を受けるのは厳しいといえます。

[注2]日本政策金融公庫:創業計画Q&A
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou02.html#q04

飲食店開業で融資審査に通るためのポイント

融資審査に通るためのポイントは信用されることです。たとえば、融資審査の際に公共料金や家賃などの滞納記録を確認されます。もし滞納している場合は審査に引っかかってしまうので、すべて支払ってから審査を申し込む必要があります。

また、過去の信用情報をクリアにしておくこともポイントです。過去に消費者禁輸からの借り入れや債務整理を行っている場合は審査が通らないので注意しましょう。

まとめ

飲食店開業時の資金調達は融資がおすすめ

飲食店開業で利用できる融資制度は主に3つありました。特に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は無担保及び無保証人で借入可能です。そのため、取引実績のない方でも融資が受けられやすい制度になっています。

ただし、元本の返済と利息の支払いがあるため、出資よりも金銭的なリスクがあります。一方で株券を引き渡さずに資金調達ができるため、経営権を失う心配がありません。自由に経営できることからも資金調達は融資がおすすめです。


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