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銀行融資での連帯保証人の必要性や見つからない場合の対応

2021年10月20日(水)11:46 AM

銀行に事業資金の融資を申し込む場合、代表者が連帯保証人になることを求められるケースが大半です。
ただ、連帯保証人についてあまりよくないイメージを持つ人は少なくありません。なかには、「できれば連帯保証人になることなく融資を受けたい」と考えている人もいるでしょう。

そこで本記事では、銀行融資において連帯保証人が必要な理由や連帯保証人と保証人の違いについて解説します。また、連帯保証人なしで受けられる融資などを紹介します。

銀行融資において連帯保証人が必要な理由

銀行融資において代表者の連帯保証が必要な理由は、銀行側のリスクを低減させるためです。
とくに規模のあまり大きくない企業の場合は、会社としての信用があまり高くないことも多く、銀行にとっては融資のハードルが高いこともあります。

このようなケースでも、代表者が連帯保証人になれば、代表者の債務に対する責任を有限責任から無限責任にすることができるため、融資金を回収できなくなるリスクを減らすことが可能です。
そのため、銀行は融資実行時に代表者の連帯保証を求めるのです。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人は、責任の重さにおいて大きく異なります。
連帯保証人は、保証人に認められている「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がいずれも認められていません。

催告の抗弁権とは、債権者が返済を求めてきたときに、「まずは本来の借り主に返済を求めてほしい」と主張することができる権利です。
連帯保証人にはこれがないため、債権者が返済を求めてきたら応じるしかありません。

検索の抗弁権とは、主債務者に返済できる資産がある状態にも関わらず自身に返済請求が来た際に、「主債務者には資産があるからまずはそちらから回収してほしい」と主張できる権利のことです。
つまり連帯保証人は、主債務者が理由を付けて返済を拒んだ結果、債権者から連絡が来た場合、主債務者に資産があることを知りながらも、自身が返済を行わなければならないことになります。

分別の利益とは、保証人が複数人いた場合に、万が一返済を行わなければならなくなったとしても、保証人の人数で按分した金額だけを負担すればよいことです。
通常の保証人の場合、主債務者が500万円を返済できなくなったとしても、保証人が5人いれば一人当たりの返済金額は100万円で済みます。
しかし、連帯保証人の場合は500万円の返済の義務を自分一人で負うことになるのです。

このように、連帯保証人には、返済に対して主債務者とほぼ同程度の責任が課されます。
債権者からすると、返済の可能性を格段に上げられることになるわけですから、銀行が連帯保証人を必要とするのも納得できるでしょう。

連帯保証人なしで受けられる融資はある?

民間の銀行から事業融資を受ける場合、連帯保証人なしで融資を受けることはなかなか難しいでしょう。
しかし、政府系の金融機関である日本政策金融公庫の融資のなかには、無担保・無保証で利用できる「新創業融資制度」という制度があります。
創業時にしか利用できないという制限はあるものの、非常に便利な融資制度なので、創業期に事業資金が必要な場合には活用するとよいでしょう。

また、ノンバンクが取り扱っているビジネスローンのなかにも、一部連帯保証人なしで利用できるものがあります。
ノンバンクからの融資は、銀行融資と比較すると金利が高めに設定されているので、利用する場合はなるべく短期間で返済することを心がけましょう。

まとめ

銀行融資では原則として連帯保証人が必須

銀行融資で連帯保証人が必要なのは、連帯保証人は通常の保証人よりも債務に対する責任が重いため、銀行が融資金を回収できないリスクを低減させることができるからです。
連帯保証人なしの融資を希望する場合は、日本政策金融公庫の新創業融資制度やノンバンクのビジネスローンなどを検討するとよいでしょう。


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