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起業時におすすめの創業融資とは?通るためのポイントを解説

2021年10月20日(水)11:32 AM

運転資金の融通に悩む起業家は多いのではないでしょうか。創業融資であれば、まだ会社としての実績が出ていない起業前後でも利用できるかもしれません。
この記事では、創業融資のあらましと利用の段取り、審査に通るためのポイントについて、分かりやすく解説しました。

起業時におすすめの創業融資とは?

起業準備をする方や起業間もない事業にとって、創業融資は強い味方になってくれるでしょう。事業を立ち上げて回すためには、初期投資や運転資金が必要になります。
事業実績が乏しい状態で、これら資金を金融機関から借り入れるのが創業融資です。

起業家に創業融資を実施してくれるのは、一般の銀行や信用組合などのほか、日本政策金融公庫(国金)もあります。日本政策金融公庫の創業融資は第一選択肢になり得るもので、比較的低金利であるのみならず、無担保かつ無保証人でも申し込み可能です。
なお、日本政策金融公庫は日本政府が100%出資しており、国策として起業家支援を行っています。

起業時に創業融資を受けるための手順

起業家向けにさまざまな金融機関等が創業融資を準備しています。有効活用するためには、使う順番(申込みの段取り)には気を配ってください。

起業から二期以内で申し込める創業融資には、日本政策金融公庫と保証協会付き融資(各都道府県や市区町村)、女性若者シニア創業サポート事業(東京都のみ)、そしてマル経融資(小規模事業者経営改善資金)があります。

マル経融資とは、商工会議所や商工会の経営指導を6ヵ月間受けた小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が実施する創業融資のことです。起業して一期終了後でないと対象になりません。
また、マル経融資を受けた後で、日本政策金融公庫の創業融資を申し込むのは避けましょう。

創業融資を申し込む順番は、日本政策金融公庫が第一選択肢です。対応が柔軟で、スピーディーな融資を期待できます。
次に、保証協会付き融資です。日本政策金融公庫よりも融資審査に時間を要し、手続きも少々面倒になります。最後にマル経融資への流れです。

なお、同一金融機関から2回以上の融資を受けたい場合、初回融資と次の融資との間に一定期間の返済実績が必須となります。原則は12回以上の返済実績を求められるため、覚えておいてください。

起業時の創業融資に通るためのポイント

創業融資の審査に通るために、押さえるべきポイントを紹介します。融資を実施する金融機関により多少の差異はありますが、以下は基本的に共通と考えてください。

1. 自己資金割合

自己資金割合とは、全体として必要な起業資金のうち、借り入れではない自己資金を用意できた割合のことを指します。
一般の融資の場合、自己資金割合は売上高の3分の1ほどを求められるケースが多いです。創業融資を申し込む場合であれば、借り入れ希望額の2分の1、少なくとも3分の1程度の自己資金を用意しておいた方が無難でしょう。

同時に経営者個人の預金通帳もチェックされます。少なくとも過去1年分のお金の出入りについて、申告された自己資金の金額が、妥当に蓄積されてきたものかどうかを確認されるのです。家族や親族などから内々に借用したお金を自己資金として申告するのはNGなので、注意してください。

2. 起業家としての経験・信用力

起業して営む事業についての知見を、会社員時代などにどのくらいの期間、どのような立場で得てきたのかをチェックされます。そのため、これまでのキャリアと全く関係ないビジネス領域で起業する場合、創業融資を受ける際、不利に働く可能性があるのです。

あわせて、起業家の個人信用情報も必ず確認されます。いわゆる金融機関のブラックリストに載っている場合、創業融資の審査に通るのは非常に困難です。
また、税金や光熱費などの支払いで滞納の事実があれば、これらも不利に働きます。

3. 融資返済の可能性

創業融資の返済可能性の有無は、事業計画書に記載された利益推移と、その妥当性を検討して評価されるものです。
毎月の返済予定額と比較したとき、税引きで1ヵ月あたりの利益予想額のほうが大きくなっていること、その根拠に説得力があることなどが最低の判断基準となります。

もちろん、起業後長期にわたる赤字を想定している事業計画書を作成した場合、融資審査に通るのは不可能です。融資しても返済が困難な起業家と見なされ、評価されてしまうためです。

4. 融資資金の使途

資金使途は全て具体化し、明示することが求められます。同時に金額の妥当性についても、見積書などを添えて証明しなくてはなりません。IT関連やコンサルタント関連などの事業のように、起業コストが比較的小さい場合でも要注意となります。
資金使途が不透明であると懸念される場合、起業家向けの融資審査とはいえ、通ることはできません。

まとめ

起業時におすすめの創業融資のコツを押さえて活用しましょう

起業前後に活用可能な創業融資の特徴と利用の段取り、融資審査に通るポイントについて、初めての方にも分かりやすいよう解説してきました。
まずは、日本政策金融公庫の創業融資に申し込みましょう。自己資金割合を高めて事業計画書を作り込み、資金使途も明確化しておいてください。


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