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財形住宅融資とは?その特徴や受けるための条件を詳しく紹介

2021年10月20日(水)2:52 PM

持ち家を取得する際に、どこから借り入れすればよいか悩む方が多いでしょう。
借入先には民間の金融機関だけでなく、公的機関からも借り入れ可能です。

この記事では、公的機関から借り入れできる財形住宅融資に解説します。
また住宅ローンとの違いや借り入れの条件まで紹介します。

財形住宅融資とは持ち家を取得する際に受けられる公的融資のこと

財形住宅融資とは、財形貯蓄を利用している方が持ち家を取得する際に受けることができる公的融資のことです。
財形住宅融資には、勤労者退職金共済機構による財形持家転貸融資と住宅金融支援機構の財形住宅融資の2パターンに分けられます[注1]

また財形貯蓄は、企業が導入している福利厚生の1つです。
そのため、毎月給与から一定の金額が財形貯蓄に回されています。

半強制的に回されるので、確実に貯蓄することが可能です。

[注1]住宅金融支援機構が行う財形住宅融資制度とは、どのような制度ですか。 |住宅金融支援機構
https://www1.fastcloud.jp/jhffaq/jhf/web/knowledge225.html

財形住宅融資と住宅ローンの違い

持ち家を取得する際に利用できる融資は他にも住宅ローンがあります。
以下では、財形住宅融資と住宅ローンの違いを解説します。

1. 扱う機関が異なる

財形住宅融資と住宅ローンの大きな違いは扱う機関です。
住宅ローンを扱う機関は、民間の銀行や信用金庫、生命保険会社など民間の金融機関になります。

一方で財形住宅融資を扱う機関は、勤労者退職金共済機構や住宅金融支援機構などの公的機関です。
厚生労働省所管轄の独立行政法人になるため、信用度が高いといえます。

長期的に安定している財形住宅融資の方が、安心して住宅ローンを組めるでしょう。

2. 金利の見直しの有無

財形住宅融資と住宅ローンは、金利の見直しの有無も異なります。
住宅ローンの場合に、全期間固定金利のプランを選ぶと、返済期間はずっと同じ金利のままになります。

一方で財形住宅融資は5年ごとに金利が見直しされます。
たとえば、住宅金融支援機構の融資金利は、新機構団信の場合に始めの5年間は1.21%です。

しかし、5年を経過すると金利が見直しされて金利も未定になっています。[注2]

そのため、始めの金利が住宅ローンよりも安くても5年後には高くなる可能性があります。
長期で借入する場合は金利が高くなる可能性も検討する必要があるでしょう。

[注2]財形住宅融資金利のお知らせ|住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/files/100117659.pdf

3. 手数料や保証料が異なる

財形住宅融資は金利以外にもメリットがあります。
一般的に住宅ローンを組む際は、手続きに必要な諸費用が発生します。

融資手数料やローン保証料などが発生するため、数十万円を超える費用がかかってしまいます。
しかし、財形住宅融資は融資手数料やローン保証料がかかりません。

週十万円の諸費用を抑えることが可能です。

財形住宅融資を受けるための条件を7つ紹介

財形住宅融資を受けるためには、住宅金融支援機構が設ける条件を満たす必要があります。
以下に主な7つの条件をまとめました。

  • 自分で所有及び居住するための住宅を建設・購入又はリフォームする方
  • 一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の3つの貯蓄のうち、1つでも1年以上継続して行っている方
  • 申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れを行っている方
  • 申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある方
  • 勤務先から住宅についての住宅援助や負担軽減措置を受ける方
  • 財形持家転貸融資を受けていない方(住宅金融支援機構の財形住宅融資を受ける場合)
  • 年収に占める全てのお借入れの年間合計返済額の割合が基準を満たしている方

上記の条件を満たすことで、財形住宅融資を受けることができます。
特に年収に占める全てのお借入れの年間合計返済額の割合には、注意が必要です。

年間合計返済額とは、住宅ローンの返済以外にも車のローンや他の借り入れの返済までを含めた金額のことです。
財形住宅融資を受ける場合は、総返済負担率基準を満たす必要があります。

ちなみに総返済負担率基準は、年収が400万円未満の場合は基準値が30%以下、400万円以上であれば35%以下に設定されています。[注3]
返済負担率基準は以下の計算式で求めることが可能です。

年間合計返済額の1/12÷年収の1/12×100=総返済負担率

たとえば、年間のすべての借り入れが120万円で年収が600万円の場合に以下の計算式になります。

120/12÷600/12×100=総返済負担率
10÷50×100=20%

今回の例では、基準値が35%以下になるため年間合計返済額の基準値を満たしていることになります。

[注3]ご利用条件|住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/zaikei2.html

まとめ

財形住宅融資は短期間の少額借り入れがおすすめ

財形住宅融資は、持ち家を取得する際に受けられる公的融資のことでした。
厚生労働省所管轄の独立行政法人から融資が受けられるので、安心して借り入れができます。

また財形住宅融資は、5年ごとに金利の見直しが行われます。
始めの5年間に比べて金利が高くなる可能性があるので、注意が必要です。

財形住宅融資を受ける場合は、短期間の少額借り入れであれば金利が高くなるリスクを最小限に抑えられるのでおすすめです。


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