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資本金は融資の審査に影響する?自己資金との違いを解説

2021年10月20日(水)2:56 PM

2006年に施行された新会社法により、日本では1円の資本金から会社の設立が可能となりました。実際に会社を立ち上げる際、融資を受けるのであれば、資本金の額が審査に影響してくるか気になるところです。

今回は、資本金の額が融資の審査に与える影響について、自己資金との違いと合わせて詳しく解説します。

資本金は融資の審査に影響する?

資本金とは、会社の設立に合わせて、用意できたお金のことをいいます。設立の手続きがすべて完了したら、その後は自由に引き出すことが可能です。すなわち、資本金の額が大きいからといって、その会社に同じ金額があるとは限りません。

こういった資本金の特性は融資を行う側も把握していますので、あらかじめ用意できた金額によって審査に大きな影響を与えることはないでしょう。資本金をどれだけ用意できたかよりも、自己資金や事業における将来の見通し、融資されたお金がどのように扱われるか、こういった点が審査では重視されます。

ですが、まったく影響を与えないともいいきれません。
資本金には、返済の義務がありません。引き出しも理論上は自由ですので、融資を行う側からすると、その会社の規模や体力を測るための目安として見られるでしょう。

どれだけ少ない金額で会社の設立ができるといっても、少ない資本金では会社の規模や体力が小さく見られてしまいます。設立時だけでなく、今後受けるであろう融資の審査でも、少なからず影響してくるかもしれません。

資本金と自己資金の違いとは?

資本金と自己資金は、大きく異なります。自己資金の金額は、融資の審査に大きな影響を与えます。創業時における現実的な融資先は、日本政策金融公庫と各自治体の制度融資の2つです。

たとえば日本政策金融公庫の場合、融資の限度額を自己資金の2倍までとするケースが多いとされています。

自己資金は、今その時点で現金や自分の銀行預金などで用意できているお金をさします。用意できた資本金がそのままなのであれば自己資金と同義として見ることもできますが、会社を設立したあとでこのお金は自由に使用できてしまいます。
よって、融資を行う側からしてみると、資本金の額を融資を決める材量にはしづらいのです。

融資を受けるための資本金・自己資金の考え方

日本では1円の資本金から会社を立ち上げられますが、実際には300万円以上あるいは1,000万円以上の金額を用意しているケースが比率として多いとされています。[注1]

確かに1円から会社を立ち上げられますが、創業融資のハードルが高くなったり、銀行口座の解説ができなかったりなど、問題点はいくつかあります。最低限として、資本金は100万円は用意しておいたほうがよいでしょう。

中小企業では難しいかもしれませんが、もし新しく会社を設立するにあたり多くの資本金を用意できるのであれば、1,000万円あるとよいとされています。1,000万円以上の資本金があると、免責事業者の要件を満たさなくなり、消費税が発生するためです。

免責事業者の要件を満たしていれば、設立後2年間は消費税が免除されます。そのほか、法人住民税も資本金の大きさによって税額が左右してきますので、やはり1,000万円を目安にするのがおすすめです。
一方で自己資金は、創業時融資の金額を決める重要な要素です。現実的な範囲で返済するために、受けたい融資額に対して3〜5割になるように自己資金を用意しましょう。

[注1]e-Stat 政府統計の総合窓口|経済センサス‐活動調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200553&tstat=000001095895&cycle=0&tclass1=000001106256&tclass2=000001107036&tclass3=000001114545&stat_infid=000031722003&tclass4val=0

まとめ

資本金も自己資金も融資の決定を左右する

資本金も自己資金も、厳密には意味合いが異なりますが、融資の決定や融資額を左右する重要な要素です。現実的な範囲で融資を受けながら売上を出して会社を成長させていくためには、ある程度の資本金を用意するべきでしょう。

そしてその融資額を決定するために、自己資金は必要です。会社の規模や将来的な見通しを踏まえたうえで、資本金および自己資金を確保しましょう。


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