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再チャレンジ支援融資とは?その対象者や条件・注意点を解説

2021年10月20日(水)2:42 PM

再チャレンジ支援融資は、一度事業に失敗し、廃業や自己破産している人でも融資を受けられる制度ですが、意外と利用されていません。そこで、融資制度の概要をご紹介し、今後の事業計画に生かしていただきたいと思います。

どのような要件を満たせば利用できるのか?対象者は?

融資制度利用可能な方は、新たに開業する方または開業後おおむね7年以内の方で、次の全てに該当する方です。

  1. 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
  2. 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

これらの要件全部に該当する方のみが融資対象者となります。

再挑戦支援金は、「国民生活事業」と「中小企業事業」の2種類

再挑戦支援金のうち「国民生活事業」は、「再挑戦支援資金」などのご融資を通じて、廃業歴等のある方で創業に再チャレンジされる方のお手伝い
「中小企業事業」は、一旦事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込みなどを評価することにより、再起を図るうえで困難な状況に直面している方の再挑戦を支援その趣旨が日本政策投資公庫の概要に記述されています。

それぞれ融資限度額・利率・返済期間の確認

国民生活事業中小企業事業
限度額7200万円(運転資金4,800万円)7億2,000万円(運転資金2億5,000万円)
利率(年)基準利率2.06~2.55%基準利率1.11~1.40%
返済期間設備資金20年以内、運転資金7年以内
<うち据置期間2年以内>
設備資金20年以内、運転資金7年以内
<うち据置期間2年以内>

「技術・ノウハウ等に新規性がみられる、一定の製品化及び売上が見込める」場合は特別利率となり、「女性、35歳未満または55歳以上」の方は特別利率です。特別利率対象となると、基準利率より低い利率で利用できます。

融資申し込みまでに注意すべき点

日本政策金融公庫による審査を通過することが必要です。審査においては、利用条件を満たしているかどうかだけでなく、事業計画や収支計画、返済能力などについて個別に確認されます。

一度事業に失敗した方や廃業した方を支援する再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)。利用する際にまず注意しなければいけないのが、7年以内に廃業している経験がないと申し込みができないという点です。
廃業から再チャレンジまでの期間は7年。7年は意外と早く過ぎ去るので、再チャレンジを思い立てば、すぐに行動に移すべきです。気付いたら申請期間を過ぎているケースも散見されます。また、担保や保証人に関しても、融資希望者からの相談受けて、担当者が判断することになります。
さらに、対象者の条件は「全て満たさなければいけない」ので注意が必要です。

上記の条件を満たしたうえで、「過去に破産して免責を受けている」もしくは「現在負債を抱えていないか負債があっても完済の見込みがある方」が審査を通りやすいと言われています。

自己破産された方は免責決定が下されてから申請する

自己破産してから再挑戦支援資金に申し込む場合は、自己破産後に裁判所から「免責決定」を下されてから手続きしてください。免責決定がない場合は、返済能力に問題があると判断される場合が多い傾向にあります。

現在負債を抱えている方は、明確な返済計画を立てて申し込む

さらに免責をされてから、返済計画を立てておきましょう。返済計画があれば、新たな事業への影響が少ないと判断されやすいといえます。準備を整えしっかり計画を立てれば融資を受けられる可能性はそれだけ高くなります。
この点、本融資制度のお適用条件に廃業歴があることや負債の有無を問わないことや自己破産した方でも受けられる融資なので、十分な準備・計画を立てないまま申請する方がいいのも事実です。十分な計画が立てられれば、融資を受けられる可能性は確実に高くなります。

返済計画は専門家のアドバイスも有益でまずは事業者本人で作成しましょう。実態が身をもって把握できます。これは融資担当者の心象にも好影響をもたらすといえます。

また、失敗からどのような事を学び、今後どのように改善していくのかをアピールすることが、審査通過のポイントになります。失敗は成功の母です。具体的に失敗原因を分析すれば、今後の経営にも大きく役立ちます。

まとめ

再チャレンジ支援融資は何らかの原因で事業に失敗した経験がある人が、文字通り再チャレンジの背中を押してくれるリベンジ応援融資制度とも言えます。
ただ、公的金融機関であっても融資の回収は必須なので、その分やむを得ない廃業理由であったことなど厳格な審査条件があります。
甘い気持ちを捨て、廃業・失敗の原因を十分分析して融資担当者や税理士等のアドバイザーの指摘を真摯に受け入れれば、この融資制度でもう一度新しい人生ステージを謳歌するきっかけになる可能性は大きいといえます。過去の自己破産などで融資を受けることができずに困っているという方はこの制度にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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