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所得38万以下の個人事業主は確定申告不要?判断基準を解説

2021年11月02日(火)4:07 PM

個人事業主は、基本的に確定申告をして所得税を納税しなければなりません。
しかし、年間の所得によっては確定申告の必要がないケースもあります。
個人事業主の確定申告の判断基準について解説します。

所得38万以下の個人事業主は基本的に確定申告不要

年末調整をおこなってくれる企業に勤めている会社員とは違い、個人事業主は基本的に自分で確定申告を行う義務があります。
しかし、例外もあります。それが所得38万以下の場合です。

確定申告で計算する所得税には基礎控除があります。
基礎控除はすべての人の収入から引かれた金額です。それぞれの個人の事情を考慮して公平に課税するためにこのような基礎控除が存在します。

基礎控除の金額は38万円なので、所得38万以下の場合は課税の対象となる所得は0円とみなされ確定申告の義務は発生しません。

個人事業主の「所得38万」の考え方について

課税対象とならない所得38万以下とは、1年間で稼いだ金額が38万以下という意味ではありません。

所得とは、1年間の収入から経費を除いた金額のことをいいます。
年の収入が100万でも経費が70万なら所得は30万となり、確定申告の必要はありません。

同じ年収の人が複数いても、経費によってそれぞれの所得はまったく違います。自分が確定申告すべきかを判断するためには所得の計算をする必要があります。

経費の考え方

経費は基本的にその事業をおこなう上で必要なものやサービスのために支払った金額のみを指します。
経費を漏れなく計上することで所得金額は低くなり、支払うべき所得税も低くなります。正しく経費を計算して節税に役立てましょう。

経費として支払ったことを証明するには、領収書や納品書、請求書など、支払った金額や支払い項目などがわかる資料が必要です。
支払い金額が高額でもこれらの資料を受け取らなかった、破棄してしまった場合は経費として計上できないので注意しましょう。

経費として差し引けるもの

個人事業主はさまざまな支払いを経費として計上できます。
家賃、通信費、交通費、接待費、新聞図書費など、仕事に関連づけられる出費であれば経費として計算できます。

家具やパソコン、自動車、不動産など高額な資産は減価滅却日として計算します。
その他消耗品費、損害保険料、租税公課なども経費です。

確定申告の書類には各項目がありますが、独自に項目が必要な場合は自分で記入することも可能です。

所得38万以下の個人事業主でも確定申告すべき理由

所得38万以下の個人事業主は確定申告の義務はありませんが、確定申告をすることでさまざまなメリットがあります。

資金を借り入れやすくなる

事業を拡大したいとき、資金を借り入れる必要があるケースもあります。

金融機関に借り入れを申請すると、金融機関は過去の確定申告や納税証明書から融資の可否を判断します。
確定申告をしていない場合はこれらの書類が用意できないため、金融機関からの借り入れができません。

各種控除を受けられる

確定申告には38万の基礎控除以外にもさまざまな控除があります。
保険料控除、医療費控除などを受ければ節税対策もできます。

しかし、確定申告をしなかった場合はこれらの控除を受けられません。
所得38万以下であっても、控除を受けるために確定申告をおこなうことをおすすめします。

確定申告で求められるのは所得税のみです。しかし、この所得の内容は各市区町村に報告されます。

そしてその結果から住民税など、所得税以外の各種税金の計算がされます。確定申告をして所得が少ないことを証明できれば、所得税だけでなく住民税などの税金も安くできるのです。

軽減措置を受けられる

各種軽減措置は所得税をもとに決定されます。
所得が低い家庭はより安く保育園を利用できるなど、確定申告によって得られる納税証明書が役に立ちます。

その他、国民健康保険料なども収入が低いことが証明できれば軽減措置を受けられます。
所得38万以下だからと確定申告をせずにいると、これらの軽減措置を利用できず、結果的に出費が多くなってしまう可能性があります。

まとめ

所得38万以下でも確定申告をしよう

個人事業主の年間の所得が38万以下の場合、基礎控除内に収まるため確定申告の必要はありません。
しかし、確定申告をおこなうことで所得や所得税を支払っていることが証明でき、金融機関の借り入れなどに役立てられます。

さらに年収が低いことを証明できればさまざまな措置を受けることも可能です。
確定申告は慣れないと複雑で難しいかもしれませんが、メリットが多いため必ずおこなうようにしましょう。


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