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会社設立で必要な「定款」の意味や内容・作成方法を紹介

2021年09月10日(金)12:09 PM

会社設立では必ず「定款」を作成する必要があります。
初めて会社設立に取り組む方にとっては、

  • 「定款とはどのようなものなのか」
  • 「どうやって作成すればいいのか」

を具体的にイメージするのは難しいでしょう。
そこで今回は定款の具体的内容や作成方法について詳しく解説します。

会社設立で必要な「定款」とは?

会社設立の第一歩は「定款」の作成から始まります。
ここでは、

  • そもそも定款とはどのようなものか
  • なぜ作成する必要があるのか

という2点をご説明します。

定款は「会社の憲法」を示すもの

定款は会社を運営する上でのルールを示すものです。
例えば、

  • 会社の名前(商号)は何か
  • どのような事業に取り組むのか
  • 会社の責任者は誰か
  • 会社の所在地はどこか

といった内容が記載されています。
国の基本的なルールを示した憲法になぞらえて「会社の憲法」とも称されます。

定款を作成する理由

個人事業主の開業には不要な定款ですが、会社設立では必須です。その理由としては以下の2つが挙げられます。

会社に法人格を与えるため

定款を作成すると、その定款に記載した範囲で会社に「法人格」を与えることができます。
法人格とは、法によって1人の人間と同じように「主体や権利(=人格)」を認められること。法人格を得ると、個人と同じように会社の名義で銀行口座の開設や不動産登記などができるようになります。
この法人格の範囲は定款に記載した内容で決定されます。

会社のトラブルを防止するため

「日本国憲法」が総理大臣など国を運営するトップにも適用されるように、「会社の憲法」である定款は会社のトップである社長にも適用されます。
そのため、社長であっても「自分の会社だから」とルールを無視したり、勝手にルールを変えたりすることはできません。
また、経営者間や株主間に起こるトラブルなども、定款にルールを規定することで防止できます。

会社設立で必要な定款の具体的内容

定款に記載する内容には以下の3つがあります。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

それぞれの内容について具体的に見ていきましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならない内容です。記載がないと定款の効力が認められません。

  • 商号:会社の名称を記載します。
  • 目的:会社が行う事業の内容です。ここに記載していない事業を行うことはできません。
  • 本店所在地:最小行政区画である市町村(東京都は区)まで記載します。
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額:いわゆる資本金です。
  • 発起人の氏名または名称および住所:発起人とは会社設立の責任者のこと。個人でも法人でも発起人になれます。
  • 発行可能株式総数:会社が発行できる株式の総数です。定款認証の段階では定めていなくても構いませんが、登記申請を行う段階では記載する必要があります。

相対的記載事項

相対的記載事項は、定款に記載しなければ効力が認められない内容です。
特に「変態設立事項」と呼ばれる「現物出資」「財産引受」「発起人の報酬」「設立費用」の4つは、発起人等が権限を濫用して会社に不利益を与えるリスクが高いものと考えられています。
そのため、この4つを定款に記載する場合には、会社法33条に基づき裁判所の選定した検査役による調査を受ける必要があります。

変態設立事項の内容は以下の通りです。

  • 現物出資:株式の対価として土地や車などを出資すること
  • 財産引受:第三者から財産を譲り受ける、あるいは買い取る契約を行うこと
  • 発起人の報酬:発起人が受け取る報酬
  • 設立費用:発起人が請求する会社の設立費用

このほかにも「株式の譲渡制限」や「役員の任期の伸長」などが相対的記載事項に記されることがあります。

任意的記載事項

任意的記載事項は、定款に記載してもしなくても自由な事項です。

  • 事業年度
  • 株主総会の招集時期
  • 株主総会の議長
  • 公告の方法
  • 役員の員数

などが記載されます。
後から定款を変更して追記することも可能ですが、定款の変更にも手続きが必要となるため、明確に定めておきたい事項については最初から記載しておく方が良いでしょう。

会社設立で必要な定款の作成方法

ここでは定款の基本的な作成方法をご紹介します。

定款のフォーマットを決める

定款は会社の規模別に大きく分けて3つのフォーマットがあります。

  • 小規模会社(取締役1名、監査役非設置、株式非公開)
  • 中規模会社(取締役1名以上、取締役会非設置、監査役非設置、株式非公開)
  • 大規模企業(取締役3名以上、取締役会設置、監査役設置、株式公開)

どのフォーマットを使用するか決定する際には、以下の4点をチェックする必要があります。

  • 公開会社か非公開会社か:株式の譲渡制限のない会社を「公開会社」、譲渡制限のある会社を「非公開会社」といいます。
  • 取締役の人数:「1名」など決まった数を記載するとそれ以上増やせないため、「1名以上」など余裕を持たせて記載するのが一般的です。
  • 取締役会を設置するか:3名以上の取締役がいる場合、取締役会の設置が可能となります。
  • 監査役を置くか:取締役会を設置した場合には、監査役も必ず設置しなければなりません。

日本公証人連合会のサイトで、定款のテンプレートをダウンロードできますので参考にしながら作成すると良いでしょう。[注1]
[注1]日本公証人連合会:定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)
https://www.koshonin.gr.jp/format

作成後は公証役場で認証を受ける

定款を作成したら、本店所在地と同じ都道府県の公証役場で「定款認証」を受けます。

定款認証の際に揃えるべき書類は以下の通りです。

  • 定款3通
  • 発起人全員分の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 発起人全員分の実印
  • 実質的支配者※となるべき者の申告書

実質的支配者とは会社の経営や事業の運営を行う個人を指します。

定款認証の費用としては、

  • 定款印紙代:4万円
  • 公証人認証手数料:5万円
  • 設立登記申請用の謄本の請求手数料:約2,000円

が必要です。
ただし、電子定款の場合には定款印紙代の4万円は不要です。

まとめ

会社設立時の定款作成は会社の方向性を見定める大切な機会

定款は「会社の憲法」とも呼ばれ、会社を運営する上でのルールを規定しています。
「これからどんな会社にしていきたいか」をよく考えた上で、作成することが大切です。定款認証の申請前には、公証役場での事前相談や、行政書士・司法書士による定款作成サポートを受けると、「定款認証で不備が見つかり、修正しなければならなくなった」などのトラブルを防止でき、会社設立への第一歩をスムーズに踏み出せます。


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