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外国人が日本で会社を設立する方法や注意点を分かりやすく解説

2021年09月10日(金)12:09 PM

日本では外国人の方も会社を設立することが可能です。ただし、誰でも自由に設立できる訳ではなく、一定の条件を満たしている必要があります。
そこで今回は外国人が日本で会社を設立する方法と、会社設立時の注意点について分かりやすく解説します。

外国人が日本で会社を設立するための条件

外国人が日本で会社を設立できるかどうかは、「在留資格(ビザ)」に左右されます。
ここでは、会社設立が可能な在留資格と会社設立が制限されている在留資格をチェックしてみましょう。

自由に会社設立できる在留資格

日本で自由に会社設立できる在留資格は以下の通りです。

  • 日本人の配偶者等
  • 定住者
  • 永住者
  • 永住者の配偶者等

これらの在留資格は日本での活動に制限が課されないため、日本人と同じように会社設立が認められています。

会社設立ができない在留資格

先ほどご紹介した「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」「永住者の配偶者等」という4つの在留資格以外で会社設立ができるのは、日本国内での事業活動が許されている「経営・管理」の在留資格のみです。

  • 技能
  • 短期滞在
  • 家族滞在
  • 留学

といった在留資格を持っていても、日本での会社設立は認められません。
会社設立を行う場合には、現在の在留資格を「経営・管理」の在留資格に変更する必要があります。[注1]

外国人が日本で会社を設立するための手順

外国人の場合でも会社設立の手順は日本人とほとんど同じです。1つ1つ順番に見ていきましょう。

1.設立する会社の種類を決める

会社を設立する際には「株式会社」と「合同会社」のどちらを設立するかを決定しなければなりません。

  • 株式会社:出資者(株主)と経営者とが分かれている形態の会社です。社会的信用が高く、資金調達しやすいメリットがあります。
  • 合同会社:出資者と経営者が同一である形態の会社です。設立費用や運営コストを低く抑えられるメリットがあります。

2.定款を作成する

定款は会社運営上の基本的なルールをまとめたもの。会社設立の際には必ず作成する必要があります。
定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があり、これが欠けていると定款としての効力が認められません。公証役場のホームページにあるフォーマットなどを参照しながら、不備のないように作成しましょう。
なお、株式会社を設立する場合には公証役場の定款認証が必要です。

3.資本金を払い込む

会社設立では銀行口座への「資本金」の払い込みが必要です。
資本金を払い込んだら、入金した預金通帳のページをコピーして残高が証明できるよう準備しておきます。

4.登記申請を行う

最後に法務局に必要書類を提出して登記申請を行います。
登記申請には非常に多くの書類が必要となるため、以下に代表的な書類を示します。

  • 登記申請書
  • 登記免許税の収入印紙を貼付した台紙
  • 登記すべき事項を保存したCD-R
  • 定款
  • 取締役の就任承諾書
  • 払込証明書
  • 印鑑(改印)届出書※

ただし、日本国内で印鑑登録を行っていない外国人の場合、印鑑届出書の代わりに「サイン証明書」を提出する必要があります。
サイン証明書は大使館で取得できます。また、居住する国の行政機関や公証人で取得しておくことも可能です。[注2]

申請後、法務局から特に連絡がなければ会社の登記は完了です。

外国人が日本で会社を設立する際の注意点

会社設立の手順は日本人でも外国人でも変わりませんが、いくつか注意しておくべき点があります。

経営・管理ビザの取得要件を確認しておく

会社設立のために経営・管理ビザを取得するには、以下の3点を満たす必要があります。

  1. 日本国内に事業所が確保されていること
  2. 経営・管理ビザを申請する本人以外に日本に居住する常勤職員2名を雇用するか、あるいは資本金や出資金が500万円以上であること
  3. 安定して継続的に事業が営まれることを客観的に示す事業計画書を用意すること

経営・管理ビザの申請から取得までには3ヶ月程度かかります。余裕をもって申請しましょう。

資本金を払い込む金融機関に注意

資本金の払い込みが可能な金融機関は以下の3つです。

  • 日本の銀行の日本国内支店
  • 日本の銀行の海外支店(現地法人を除く)
  • 外国の銀行の日本国内支店

外国法に基づいて設立された現地法人では、資本金を払い込んでも認められないため注意しましょう。[注2]

発起人が該当の銀行口座を保有していない場合には、資本金の払い込みに関する権限を代表取締役に委任し、代表取締役の口座に払い込むことができます。
発起人も代表取締役も銀行口座を保有していない場合には、新たに口座を開設するしかありません。
外国人が日本国内の銀行で口座を開設するには、日本で6か月以上滞在して住民票を取得する必要があります。

外国語の文書には日本語の訳文が必要

申請書類として外国語で書かれた文書を添付する場合などには、原則として全てを日本語に翻訳した書面も合わせて提出する必要があります。[注2]

まとめ

外国人でも正しく準備すれば日本で会社設立ができる!

外国人が日本で会社設立を行う手順は日本人と同様です。
ただし、

  • 印鑑届出書の代わりとなる「サイン証明書」
  • 「経営・管理」の在留資格
  • 資本金の払い込みができる銀行口座
  • 外国語の文書を日本語に訳したもの

の4つは別途用意する必要があります。
特に在留資格と銀行口座は新たに入手しようとすると、数ヶ月から半年ほどかかってしまいますので、早めの準備がおすすめです。

[注1]出入国在留管理庁:在留資格一覧表
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html

[注2]法務省:外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html


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