松尾友平税理士事務所 >  会社設立お役立ちコラム > 融資における据置期間とは?設定のポイントや留意点も解説しています

融資における据置期間とは?設定のポイントや留意点も解説しています

2021年10月21日(木)10:38 AM

融資における据置期間の設定について、疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、据置期間の意味合いや設定するためのポイント、留意すべき点について、融資初心者でも分かりやすいよう、整理して解説します。

融資の据置期間とは、元本返済が猶予される期間のこと

融資における据置期間とは、元本の返済が猶予され、利息分のみの支払いで済む期間のことを指します。
創業して間もない企業が融資を受けた場合、返済負担が大きいと事業展開の足枷となりかねません。金融機関側の狙いとしては、据置期間中は利息のみを支払って融資先企業の資金繰り負担を軽減し、経営を健全化してもらいたい、という意図もあります。

なお、融資の据置期間も返済期間に含まれるため、要注意です。
たとえば、返済期間8年、据置期間1年という融資条件である場合、返済期間はあくまでも8年となります。「9年かけて完済すれば良い」という解釈は誤りです。この場合、正措置期間の1年間は利息分のみを支払い、以後7年が元本と利息を合わせて返済する期間となります。

融資の据置期間を設定する方法とポイント

融資の据置期間を設定する方法を、3つのポイントに分けて紹介します。

1. 売上・入金が見込める時期を明確にする

据置期間は元本返済の猶予期間であるため、いつから売上を見込めるのか、いつから売上が入金されてくるのかが、期間設定のポイントです。
なお、事業内容によって売上が立ち始める時期、売上が現金化される時期は異なります。

たとえば、創業してから比較的早く売上が立ち、売上が入金される事業であれば、据置期間を長く設定する必要はないでしょう。逆に売上が立つ時期を見極め難い事業の場合、据置期間を長めに設定した方が無難です。
ただし、据置期間が希望通り認められるとは限らないため、注意しましょう。

また、2回目の融資申し込みを念頭に返済実績を早期に作るため、据置期間の設定を敢えて希望しない、という経営判断もあり得ます。この場合、据置期間は融資を受ける側が希望しない限り設定されません。

2. 感覚ではなくデータを根拠に説明する

融資における据置期間の設定希望は、データを根拠として説明できると通りやすいです。
たとえば、同規模の同業他社の収益化までの期間をリサーチしたり、これまでの自社業績に基づいて、無理のない毎月の返済額をシュミレーションしたりしておきましょう。 自社にとって無理のない返済額を把握できれば、据置期間も設定しやすくなります。

3. 据置期間はリスケできる

あまり知られていませんが、融資での据置期間はリスケジュール(リスケ)が可能です。
もちろん、リスケは借入条件の変更になるため、融資する側・される側双方の合意が必要となります。なお、融資資金が回収不能となるリスクが生じた場合、金融機関はリスケに応じてくれる可能性が高いです。

もちろん、リスケ前提は望ましくありません。順当な返済実績を残すためにも、当初の返済計画通りに完済するのが理想です。

融資での据置期間設定に関する留意点

融資における据置期間設定に関して、留意すべき点も説明しておきます。

1. 据置期間終了後は毎月の返済額が大きくなる

先述の通り、利息分のみ払い込む期間である据置期間は、返済期間に含まれています。したがって、同額の融資を受けても、据置期間を設置しなかった場合に比べると、据置期間終了後の返済額が大きくなります。

場合によっては、据置期間を設けたことによって、運転資金工面に苦労するケースもあるでしょう。資金繰り表をもとに、あらかじめ十分シミュレーションしておくことが大切です。

2. 返済総額(支払い利息)が大きくなる

融資で据置期間を設定すると、据置期間を設定しなかった場合よりも支払い利息の総額が大きくなります。ひいては、返済総額も大きくなります。
なお、据置期間が長く、融資額が大きいほど、返済総額(支払い利息)の差は大きくなる仕組みです。
融資を受ける際は、必要な金額だけにするとともに、据置期間は極力短く設定したほうがよいでしょう。

まとめ

融資での据置期間とは利息分のみ払い込めば良い期間のこと

融資における据置期間の意味や設定のポイント、設定に際しての留意点について、整理して解説してきました。
措置期間を設定すれば、創業直後などで売上・入金がしばらく見込めない期間の負担を軽減することができます。ただし、据置期間を設定すれば返済総額は大きくなります。また、期間終了後は毎月の返済額も増えるため、措置期間の長さは融資額などを考慮して、慎重に設定しましょう。


  |  

ページトップへ