貸倒損失計上のタイミング

2016年09月07日(水)8:46 AM
 商売をしていると、それまで取引をしていた相手が倒産してしまい、そこに対する売掛金が回収できないという事態に陥ってしまう事もあります。倒産以外にも、夜逃げされてしまい連絡がつかない、相手はいるけれども支払いをしてくれない、など様々な要因で本来受け取れるはずだった売上金を受け取れないというトラブルが生じることもあるでしょう。
 そうなってしまった場合、会社の帳簿に載っている売掛金はずっと残ったままなのでしょうか。

 実は、しかるべき時期にきちんと処理を行えば、貸倒損失として回収不能な売掛金を損金に算入することが可能なのです。

貸倒損失が経費として計上されるのは、以下の3つのケースのいずれかに該当する場合です。
① 会社更生法などの適用により、強制的に切り捨てられるケース
 (法律上の貸倒)
② 債務者が債務超過により、客観的に見て債権の全額回収が不可能であるケース
 (事実上の貸倒)
③ 所定の売掛債権に関して、1年以上支払が無いといったケース
 (形式上の貸倒)

ケース別にもう少し具体的に見ていきましょう。
<上記①のケース>
会社更生法や民事再生法の規定などにより切り捨てられた金額がある場合や、債務者に対して書面で明らかにした債務免除額がある場合、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入することとなります。

<上記②のケース>
債務者の資産状況や支払い能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合には、貸倒として損金経理することが出来ます。但し、こちらもそれが明らかになった事業年度において行う必要がありますし、担保物がある場合にはその処分後である必要があります。
しかるべき時期にきちんと処理をしておかないと、ずっと貸倒が計上できないという事になってしまいますので、十分に気を付けましょう。

<上記③のケース>
この場合、具体的には以下の要件を満たす必要があります。
・継続的な取引を行っていた相手である
・取引停止の時もしくは弁済の時の、最も遅いときから1年以上が経過している
これらの場合において、売掛金の額から備忘価額(1円)を控除した残額を貸倒として損金に算入可能となるのです。
なお、この備忘価額に関しては、①や②の要件を満たさない限り残しておくこととなりますので注意しましょう。

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